2012年4月3日火曜日

環境を視る眼……大阪の教師たちを応援する立場から

飯田哲也氏(環境エネルギー政策研究所長)が橋下徹大阪市長の特別顧問を務めていることが、脱原発などの環境問題に取組んでいる多くの人たちから批判されている。
橋下市長(右似顔?絵)は市役所職員の思想調査をしたり、これまで教育委員会が作っていた教育方針を、市長や知事が決めるようにして、職務命令違反が2回で指導研修、その後は停職、と自分の言うことをきかない教師や職員を脅している。教師や職員に国歌の起立斉唱を強要して、職務命令どおり歌っているかどうか、教頭たちに口元を調べさせることまでしている。
人権を無視した思想統制のような教育現場で、教師たちが萎縮して、のびのびした子どもたちを育てられる状況は到底期待できない。職員たちも市民や地域のことよりも、市長や管理職の顔色をうかがうことになってしまうだろう。
閉そく感のある時代には、橋下市長に代表される剛腕なリーダーを人々が求めやすくなる傾向があるとはいえ、脱原発のリーダーの一人のように言われていた飯田氏も権力にすり寄るのかな? 「お前もか!」という印象を覚えた。過去に聴いた講演やテレビ討論では、態度が大きくズケズケ主張する点は、脱原発で共通する立場の私には、人柄は別にして、頼もしくも感じられた。

ただ、脱原発やエネルギー問題で方向が一致しても、人としての尊厳や権利を無視するような橋下氏の政策ブレーンにまでなるだろうか、と思い、ひととおり彼のツイッターやホームページ等を調べてみた。彼が代表をしている環境エネルギー政策研究所のホームページ等では橋下氏のことに関して直接話しているビデオや文章は見つからず、確認できたのは、彼がツイッターで橋下氏を絶賛していることとか、現に橋下氏の特別顧問をしていること等だった。
<大阪市の公的資料では橋下市長になってから僅か3ヶ月だけれど、市長の特別顧問が16人、参与も入れると50人になった(平松前市長時代は特別顧問3人)。その人たちの報酬は一気に2倍以上に増額して、2万~5万円台が支給されている(逆に平成24年度から職員給与は平均7%減額)>

飯田氏は環境エネルギー政策研究所など多くの仕事をしているので、橋下氏の特別顧問は関西電力との交渉における助言など、限られた範囲だろうと推察する。とにかく忙しい方で本年2月3日には「省エネ法の改正案に関する要望書」を気候ネットワーク、グリーンピース・ジャパン、WWWジャパンなどと共同で政府に提出されたりしている。
今、日本のエネルギー政策は大きな転換点に差し掛かっている。脱原発が実現するかどうか、小異を超えて、次の時代の国造りを多くの人が考えている。様々な政党や団体、個人が。勿論、橋下市長が率いる「維新の会」も、新しい国のかたちを作ろうとしている。……しかし、どこかおかしい。

 脱原発ならばグリーピースもWWWもみんな一緒?
「3.11」の前は反原発運動は衰退の一途だった。人が集まらず、下北の大間でも六ヶ所村でも反対する人たちが切り崩され、集会すらままならない時代がずっと続いていた。反原発を言いたくても言えず、寡黙になった人たちも少なくない。
ところが「3.11」以降、突然多くの人が脱原発を主張し、あたかも正義我にあり、といった観がする。橋下市長のような人物までもが脱原発を主張している(?)。そして(おそらくは、飯田氏(左似顔絵)のように、エネルギー政策等、何かの政策で一致するので)様々な人が橋下氏の特別顧問に集まったりもしているのだろう。
新しく環境政党を作ろうとしている人たちの中にも橋下市長を迎合する人たちがいる。私がおかしいと感じるのはこの点だ。
人間だから、いろんな考えがある。同じ考えの方が少ないかもしれない。ただ、意見の違いを大切にしても(橋下氏は自分の意見を無理やり認めさせたい人なのだろうが……)、人として最低限共有できていないと困るものもある。基本的人権や人の尊厳だ。

脱原発ならいいのか、自然エネルギーを推進するならいいのか、……グリーンピースもWWWも、自然保護なら問題ないのか。……そうではないはずだ。様々な団体は、その団体が掲げる方針で合致すれば、原則的には共同行動できる。お互いに内政不干渉だろう。……しかし、と思う。個人の選択は別だ。橋下市長が脱原発を言ってるからとか、エネルギー政策で一致するからと言って、働く人々の基本的人権を無視したり、教育現場に個人の政治主義を強要することを無視できない。
仮に今、社会のエネルギー転換の大チャンスだとしても、社会の仕組みを変えていく取組みは、人、一人の尊厳を大切にしながら進めたいし、それができる人たちと行動していきたい。
どんな主義・主張も、一人ひとりの人権や尊厳を大切にすることの上での議論だと思う。この点で、私は飯田哲也という人と、その取組みを信用できなくなった。

私が高校生の頃からずっと大切にしてきたのは、人、一人ひとりの人間性だ。どんな主義主張も、まずはその人の人間性から始まると思っている。
人はいろんな弱さを持っている。私が多少なり関わった地域で、生活の為に自分の主張を曲げて「原発の金」を受け取っただろう人は多く居た。それでも、どんな人でも、共通して基本的人権を尊重されるべきで、「人としての尊厳」を持つ。この大前提の上に、「原発推進」も「脱原発」もある。
教育や行政の現場で、その尊厳や人権を守るために橋下氏に逆らっている人たちが居る。その横で、それはそれ、これはこれ、基本的人権と原発の問題は別物さ、とでも言うように、市長の特別顧問としてエネルギー政策を提言することの薄っぺらさに失望してしまう。それが彼のビジネスなのだろうか。私にとって、ある人の主張が正しいかどうかは大切だが、それ以前に、その人が人として信頼できるかどうかだ。

もっと真贋を見抜く力を磨いて、改めて環境のこと、時代のことに対して、責任のある行動をしていきたい。
……もう、だまされないぞ!

cf. 橋下市長の教育基本条例撤回に向けて活動されている人たちのホームページです。↓
http://blog.livedoor.jp/woodgate1313-sakaiappeal/archives/4891183.html