2011年9月19日月曜日

豊穣の色

 9月の3連休の中日、長野県旧望月町に気分転換を兼ねて昼ご飯を食べに出かけた。
3連休はずっと事務所で作業の予定だったけれど、カミさんが「どこか行きたいね」と言うので、なんとなくそれもそうだ……と思い、適当に仕事を中断して出かけることにした。
長野市から松代町の裏山を上り、真田町~上田市~東御(とうみ)市~佐久市と、久しぶりに浅間山麓を走ると、どこもすっかり秋の風情だった。
旧望月町(現在は佐久市)の奥深い谷合いを春日温泉の近くまで何キロも走ると、小さな集落の入口に目指す『職人館』があった。農家レストランのはしりだったそうだけれど、今ではすっかり知られるようになったようで、古民家の前には東京や名古屋方面からの車が多く、私たちは1時間以上も待たされることになった。
特にすることもないので、古民家の2階に上がり、がらんとした板の間に無造作に置いてあるホームスパン(羊毛の手紡ぎ糸)を見ていた。それらはイタドリやクララ、栗など様々な植物で草木染めされていて、一つ一つ色合いが異なりながら、どれもやさしい色合いだった。退屈して結局、店主が呼んでくれるのを待ちながら、板の間で昼寝してしまった。
そんな気ままな時間に、窓から見える黄金色の田んぼが印象的だった。
遠くに浅間山を望みながら、一面に広がる稲穂は、いかにも頭が重そうだった。
……豊穣という言葉は、こんな風景にこそ当てはまる気がした。

大きな震災を経て、日本人のアイデンティティ(日本人らしさ??)という言葉をよく聞くようになった。そんな難しいことは一言では言えないが、稲穂の色は日本の大切な風景の色だと思う。
今年は各地で田植えが出来なかった話を多く聞く。同時に現在も減反政策は続いている。
午後も2時を回った頃にようやく蕎麦と地元野菜の味噌焼きを食べさせてもらった。
帰りもずっと続いた黄金色の風景だったが、運転をしながら改めて、豊穣の色と、この風景を作っている人々に感謝した。